キープについて


 インカ帝国は、スペイン軍に滅ぼされるまでに、現在のエクアドルからチリに至る広大な範囲を領土としていました。緯度の幅にすると約30度という巨大な国家でした(緯度幅30度というと、北海道の最北端からグアムまで)。しかしながらこの広い地域を支配していたにもかかわらず、文字を持っていませんでした。

 ただし、数を記述する方法はありました。それがキープと呼ばれるものです。縄の結び目の形で数を表現するため、「結縄(けつじょう)」と呼ばれています。日本でも沖縄で明治中期ごろまでは、ワラザン(藁算)という数量表現がありました。

 インカ帝国では、王や役人は人民の統治に必要な情報(総人口や兵士の数、納税品の量)などをキープに記録していました。このキープの作製およびその解読を行うキープカマヨックと呼ばれた専門家(公務員)がいました。しかし、10種類の結び方とその読み方さえマスターすればよいのにどうして専門家が必要なのか、と疑問に思うかもしれません。実は、結び目の形だけが情報を持っているわけではありません。紐の色、結び目の位置など結び目の形以外にも情報が含まれていました。これらの情報は、数量というよりも、何の数を示すものかを表しています。人口なのか、ジャガイモの量なのか、はたまた王の演説回数なのか、数量化できるさまざまな事項を区別することが必要だったのです。


 さて、じゃあ結局のところ、アクセス数はいくつだって? 結び目の形と数の対応づけた表を作ればいいのですが、それではつまらないので、形と数の対応を発見してください。なお、現在のアクセス数は74341です。

1997/9/6
笠原 和起(Takaoki Kasahara)